任意整理とは、司法書士などの専門家が貸金業者と話し合いをして、和解を求めていく裁判外の手続のことです。平成19年以前から消費者金融や信販会社と金銭消費貸借取引をしている場合借入れの多くは利息制限法所定の法定利率を超えていることが多いため、今まで払いすぎた利息を元金に充てることによって元金を減らすことができます。また、相談者の中にはすでに借金が消滅時効にかかり、無くなる場合もあります。払いすぎた利息(過払金)があるときは過払金を取り戻します。
・過払金返還請求について
「過払い」とは、上記記載のとおり払いすぎていた利息を借入元金へ充当して借金が無くなり、それでも払いすぎていた利息が残っている場合を言います。当事務所では、過払金とともにその過払利息を全額回収するため努力いたします。もっとも、貸金業者の中には資金繰りが悪化し、回収困難な会社もあります。当事務所の方針については契約の際、説明いたします。また、依頼者の意思を第一としておりますので、不明な点などありましたら是非ご連絡をください。
・過去に債務整理された方について
過去に特定調停された方や自己破産された方について、債務整理をした時期や取引期間によっては過払金が発生しており、回収できる場合があります。気になる方はお気軽にご連絡ください。
・当事務所の近時の判例紹介
1.特定調停後の過払金(不当利得金)返還請求控訴事件
事件番号 平成22年(レ)第95号
判決言渡日 平成23年1月28日
・本件事例は、平成17年頃特定調停をされた方が過払いという存在を知り、相談されたものです。その後、調停記録を閲覧すると、開示された取引履歴と異なっていたため、裁判をすることに。なお、本件特定調停では残債務ありとして、他に債権債務なしとされていました。争点は、特定調停における17条決定の効力の有無及び範囲なのですが、判断は裁判官によりまちまちです。というのも、調停に代わる決定は裁判であるため、単なる当事者間の和解契約(法律行為)とは異なります。本件の場合、一審は敗訴。その後、控訴をした結果、以下のとおり判断され、請求の一部が認められました。「本件17条決定において定められた清算条項の「本件」には、履歴の開示されなかった部分の取引は含まれない。」
2.クオークローン(現クラヴィス)・プロミス切替事件の不当利得返還請求上告事件
事件番号 平成23年(ツ)第11号
判決言渡日 平成23年12月21日
・本件事例は、当時プロミスの完全子会社であったクオークローン(現在クラヴィス)が貸付業務を中止することなどに伴い、顧客に対するクオークローンの債権をプロミスの債権に切り替えるため、プロミスと顧客との間で切替契約を締結したというものです。しかし、実態はそんなに単純ではありません。詳しい事を知りたい方はネットで検索してください。本件訴訟は、まず一審では依頼者とクオークローン・プロミス間における各継続的金銭消費貸借取引は一連充当計算される旨判断されましたが、控訴審では別々の取引であるとして請求を棄却。切替契約に至った経緯や敗訴した場合に債務が残ってしまうといった事情から平成23年3月に上告。その後、口頭弁論期日が指定され、そして上記判決言渡日に無事依頼者の主張が全面的に認められ、一連充当計算されることになりました。
3.和解契約後の不当利得金返還請求事件
事件番号 平成23年(ハ)第234号
判決言渡日 平成23年12月21日
・本件事例は、平成19年8月頃、借主が既に過払い状態であるにもかかわらずその事実を知らず、貸金業者の勧めに従い約定債務に基づく分割弁済和解契約を締結した案件です。裁判では、和解契約の有効性が争われましたが、次のとおり錯誤無効が認められました。「単に取引経過を利息制限法所定の制限利率で引き直した計算結果と和解内容が一致しないからといって、直ちに和解契約が無効となるものではないが、利息制限法所定の制限利率を超える利息の支払は、いわゆるみなし弁済が成立するような極めて例外的な場合を除いて、原則として法律上の原因を欠くのであるから、利息制限法の制限利率に引き直して計算した結果、被告が不当利得返還義務を負う場合に、和解契約において過払分の不当利得返還請求権を放棄することは、同法の趣旨に反し、とりわけ、貸金業者が取引履歴のすべてを開示しないときは、借主において十分な検討をすることができず、その合理的意思にも反する結果となる。・・・計算結果と和解の内容が大きく乖離しており、かつ、借主がそのことを認識しておらず、認識しなかったことについて貸金業者側に起因する事情がある場合には、法律行為の要素について借主に動機の錯誤があり、かつ、そのことは表示されているというべきであるから、和解契約は無効となると解するのが相当である。」
自己破産とは、借金の支払が不能となり、今ある財産を原則としてすべての債権者に弁済しその後、裁判所から免責決定をもらうことで借金を免除してもらう制度です。自己破産を依頼する際、費用が心配の方には「法テラス」の費用立替え制度を利用いたしますので、お気軽にご相談ください。
個人再生とは、裁判所に民事再生を申請する書類を提出して、借金を民事再生法に基づいて減額する手続きです。原則、3年で支払うという計画案を裁判所に認可してもらいます。また、住宅ローン特則という制度を利用できる場合には、住宅を手放す必要はありません。(但し、様々な条件がありますので、まずはご相談ください) 個人再生のメリットとして、自己破産のように資格制限を受けることはありません。自己破産をすると宅地建物取引主任者、生命保険外交員、損害保険代理店、証券会社外務員、警備員など資格を失います。これに対して個人再生では、このような資格制限がありませんので、資格を失わなくてすみます。
特定調停とは、複数の貸金業者から借金をして返済に困った場合に、裁判所に申立人の返済可能な返済計画の申立てをして、調停委員が債権者と話しをつけてくれる手続きです。特に、既に給料などを差し押さえられている場合には、執行停止の申立てを利用して強制執行を停止できる場合があります。